マンションにおいて住人同士のトラブルは、どの管理組合でも頭を抱える問題です。
生活音をはじめとする騒音問題、禁止されている犬猫を無断で飼っているペット問題、さらには違法駐車・駐輪など、いずれも居住者のマナーや意識低下がその原因です。国土交通省が調べた「マンション総合調査(平成20年調査)」(※)によると、居住者間のマナーをめぐるトラブルが63.4%ともっとも多くなっています。
これらの問題は、管理組合で説明会の開催やルールの明確化、そして管理規約の変更も視野に入れながら解決策を図っていくことになります。具体的な解決例をみてみましょう。
※参照元:[PDF] 国土交通省 公式サイト(https://www.mlit.go.jp/common/000037707.pdf)
騒音問題の場合、できるだけ音の種類や時間の指定など具体的なルールを使用細則に定めることからはじめます。
場合によっては、第三者機関からアドバイスを求めることも必要になります。管理会社やマンション管理士、行政窓口などに意見を求めながら、ルールを作成しましょう。決定事項は掲示・広報をして、区分所有者にマナーの徹底を求めましょう。
最近ではペット飼育可のマンションが多くなっていますが、それでもやや古い物件を中心に犬や猫の飼育を禁止しているマンションは多くあります。その一方で、少子高齢化という時代の流れのなかでペットを求める家庭が増えているのも事実。
そこで、居住者の意見を聞くためにアンケート調査を実施してみてはいかがでしょう。ペット飼育の現状を把握することから、ペット問題のトラブル解決策を図っていきます。
アンケートの結果によっては、管理規約を変更しペット飼育可としたマンションもあります。あるマンションでは特例のような形で、犬や猫だけとか、ペット一代に限りOKとした規約に変更した管理組合もあります。また、ペット飼育者による「ペットクラブ」のようなものを立上げて解決した事例も多いようです。
非喫煙者を副流煙による害から守るために、公共の場ではもちろん、家庭内でもタバコを吸えないことが多いです。ベランダに出て喫煙をする人も居ますが、マンションの場合はこれがトラブルの原因になることも少なくありません。
隣室に流れたタバコの煙が洗濯物に臭いを付けたり、部屋の中にまで入ってくるというのが原因の1つです。実際にマンションに住む住民の中でも、ベランダで喫煙をしている人が多いそうです。
臭いにおける住人トラブルは、早急に対応しなければならない問題の1つです。解決策として、管理組合の総会にて「ベランダでの喫煙の禁止」について、4分の3以上の賛成を得ましょう。十分な賛成を得られれば、管理規約を変更できます。
現在の喫煙者率は、減少している傾向にあります。残りは非喫煙者となるので、賛成を獲得できる可能性は高いでしょう。
改正されたマンション標準管理規約が2018年6月から施行されます。
それにより住宅宿泊事業が認められるケースや禁止される事例が明確になるでしょう。
民泊事業への参入が増えるにつれてトラブルも多くなっていますが、横浜市のマンション管理組合では、民泊事業を支援するためにさまざまな対応への取り組みが示されています。
民泊に限らず、普通の旅館やホテルであってもこの手の問題は山積しています。ただ、民泊は個人で管理しているため、保険に入っていなければ対応してもらえません。通常マンションの火災保険は支払わされているはずなので、それとは別に民泊専用の保険に入る必要があります。
マンション管理組合により「民泊ホストだけをまとめて加入するのか」「個別に契約することになるのか」それぞれの運営方法によって違いますが、保険をかけておくことで、室内設備の物損について補償してもらうことができるのです。
ゲストのために貸し出しているアメニティは、持ち帰ってよいものではありません。一般的な旅館やホテルでも、タオルなどは持ち帰らないことが常識です。
ただ、外国人ばかりではなく、日本人であってもそれを認識している人ばかりではないでしょう。
ホスト側にとっては当たり前のことでも、ゲストがそれを理解しているとは限りません。このようなトラブルに対して、明確なルール作りと運営方法を指導してくれるのがマンション管理組合の役割でしょう。
民泊を受け入れているか、それとも拒否しているか。それはマンション規約を確認すればわかるようになります。
国土交通省は、マンション管理組合に対して規約に盛り込むよう通達しているため、自分の住んでいるマンションが民泊に対応しているかどうかはすぐに判別できるでしょう。
全国で民泊が可能になるとしても、すべてのマンションがそれを受け入れているとは限りません。
管理規約改正は4分の3以上の賛成が必要となるため、すぐに事業として始められるわけではないのです。
横浜市ではそれぞれ地区ごとに、マンション管理の専門家と管理組合との間で交流会が開催されています。定期的に開催される交流会では、民泊や管理組合のトラブル対応についてなど、さまざまな課題についての解決が話し合われます。
これらの交流会は、横浜市マンション管理組合サポートセンターが事務局となり無料で開催しています。参加するための事前連絡は不要で、直接会場へ足を運べば受け付けてもらえるでしょう。横浜市マンション支援事業の一つとして、神奈川県マンション管理士会など4団体で運営されています。
民泊についてだけではなく、大規模修善工事や地域との連携についてなども話し合われ、安心して管理業務に取り組める環境が整えられています。 また、管理組合研修会のセミナーなどがあることで、民泊に対してどのように対応していくか協議できるのです。
サポートセンターに存在している相談員は、営業行為や斡旋行為を禁じられています。そのため問題の解決に向けては、一般的な改善策と指導しか得られません。ただ、交流会以外の個別相談にも応じてもらえるため、打ち明けてみてください。
どのようなトラブルが想定されるのか。それが起こったときどう解決すればよいのか。民泊ホストとして手をあげる前に確かめてください。
マンションは、生活リズムや価値観の異なるたくさんの人々が集まって生活をしています。そのため入居者間のトラブルは、起きてしまっても仕方がないことだと言えるでしょう。
ここで大切になるのは、トラブルが起きた時に管理会社がどのような対応をとるかという点です。
マンション管理組合運営において、住人同士のトラブルで最も多いのが「入居者間のマナーをめぐる問題」です。国土交通省によるマンション総合調査によると、実に6割以上の住人が不満を抱えています。
※参照元:[PDF] 国土交通省 公式サイト(https://www.mlit.go.jp/common/000037707.pdf)
この問題の中でも「騒音・生活音」は、常に管理組合の頭を悩ませています。
騒音トラブルで特に多いのは、「子どもの走り回る音」や「ペットの鳴き声・足音」で、マンションの構造上、下階の住民が被害者、上階の住民が加害者となることが多いでしょう。
他にも深夜のステレオ音や楽器の音、扉の開閉音などの生活音もトラブルの種となりますが、これらの問題は「感情公害」と呼ばれ、ほとんどが解決困難と言われています。実際に、トラブルが激化し、どちらかが退居するまで解決しないというケースも少なくありません。
騒音・生活音のトラブルに対して管理組合は、「どの程度の音ならいいのか」「許容範囲となる時間帯」などを明確にしたルールを提示することが大切です。偏ったルールにならないよう、専門的な知識を持ったマンション管理士や行政窓口に協力を仰ぐのも良いでしょう。
マンションの共有部分には、エレベーターや廊下、駐車場・駐輪場などが挙げられるでしょう。また、あまり知られていませんが、バルコニーも法的共有部分となっているため、バルコニーでの喫煙も共有部分のトラブルに含まれます。
共有部分の廊下に子ども用自転車を置いたり、車のタイヤを積んでいるなどという光景はよく目にしますが、管理規約において共有部分に私物を置くことは禁止されているのです。そのため、その旨を定期的に周知するのは、大変有効となります。
また、数か月おきに「〇月〇日までに私物を撤去してください」というお知らせを配布・提示しましょう。改善が見られない場合は、個別に通知等を実施して根気よく対処していく必要があります。
さらに、共有部分におけるトラブルについて、直接注意することができないという人のために、意見を集約するための連絡先を明示しておくのも大切です。管理組合や管理会社、環境担当理事などが、一般的な連絡先となります。
マンションにおけるルールの代表といえば、ゴミ出しのルールが真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。ただ、マンションのルールにはこの他にも、「他の住人への迷惑となる行為の禁止」や「住環境を守るための規約」などがあります。
例えば、「改造車の駐車禁止」「外構として植えられている樹木を傷付けない」などがあり、これらもトラブルとなりやすい問題です。
ルール違反のトラブルを改善するために、自転車や自動車などの所有者が分かる物に対しては、対象物に張り紙などをして通知しましょう。改善の無かった場合、持ち主が明確に分かっていれば直接注意をしに行く必要があります。
マンションの植え込みや設備の破損防止については、「子どもがケガをする可能性がある」「故意的に破損させた場合、修理料金を徴収する」などといった内容の張り紙を掲示すると効果的です。
ルールが決まっていないトラブルには、足音や振動などの騒音やベランダでの喫煙などの他に、上階からの水漏れも挙げられます。
マンションの水漏れとして、まず考えられるのは設備の老朽化です。築年数の経過しているマンションでは、配管の腐食や劣化が進行してつなぎ目の破損やヒビが発生することがあります。
このような経年劣化などが原因で無い時には、上階の住人の過失が原因となることが多いです。例えば、お風呂の水を溢れさせた、洗濯機のホースが外れていたなどがこれにあたるでしょう。
専有部分でトラブルが発生した場合、設備の劣化が原因で無い限り区分所有者に責任があります。しかしながら、入居者は管理会社に相談してくるでしょう。その時は、管理会社は共有部分の管理を担っている旨を伝え、よく理解してもらって上で内装業者や保険会社の手配をするのが最善です。